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これは氷の惑星アースと金の惑星ガイアの物語・・・。
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「ここが・・トレノねぇ~」
そういったバッシュは暗く、眩い町を見下ろしていた。
その時だった。

「あ・・」「え・・」
ソレは偶然の賜物といえる、出会い。

 


「姫様! このようなゴロツキと話してはなりませんぞ!」
「とりあえず、スタイナーうるさいわよ」
きっぱりと 冷酷に言うバッシュ。
「な、何と・・・」
「わたしは再会した知人と話しもさせてもらえないのかしら!?」
ほとんど切れる手前のダガー。
「いえ・・そんな・・」
「アルデバート=スタイナー!!!!!」
「あ・・はっ!!」
「女性二人に怒られてるっス」
くすりと笑うマーカス。

「で・・何しにここへ?」
「・・・ブランクの兄貴を助けるためッス」
「・・・ブランクを?」
そう言って、マーカスはぎりっと手を握る。
「石になった兄貴を助けるため俺達はあちこち情報を集めたっス。そして、トレノに白金の針という、どんな石化も治すアイテムがある事を知ったっス」
「それでここにきたわけねっ」
「・・・この人は誰ッスか・・?なにやらハイテンションッス」
「ああ、初めまして。ヴァシカル=クリスタルと言います。バッシュって呼んでね」
ぺこっと挨拶するバッシュ。
(実は・・リーズさんの本当の姿・・なのよ)
(えっ こんな怖い人が・・)
「何か?」
そう言ってこそこそしている二人に対し睨み付けるバッシュ。
「それじゃ今度は俺が聞く番っス。ジタンはどうしたっス?」
唐突なその言葉に、顔を俯かせるダガー。
「・・・・・・・・別れたわ」
「ずいぶんあっさりしたもんスね。用が済んだらハイさようならっスか?」
「・・違う・・でも・・」
そう言って ふっ と顔を上げた。
「ねえ、マーカス。その・・・わたしにも手伝わせてもらえないかしら?」
「一人で十分ッス」
「でも、人数は多いほうが-」
そう言いかけた途端、バッシュが口を開いた。
「まぁまぁまぁ。お話は中に入ってからでいいじゃないかしら。ずっとこんなところで立って話していると辛いでしょう?」
それに・・・。
「な~んか、ずっと前から後ろから黒い気配がするのよね・・・」

そう言った刹那。
「ヒギュッ…… にンム…… ダッかン。ガーネッとひメ…… イかしテ……」
ががぴき と言わせながらも片翼を羽ばたかせるひとつのブリキ。
そして、体中から強力な電撃が放たれた。
「・・・ふんっ」バッシュの手の中心に集まる無数の風。
その風がバリアの役割をし、攻撃をしてくれる要。
「消えなさい! フェル・ローガ!!!
そう言って木っ端微塵にされ、大地の一部と化した。

「まぁ、ダガーはいろんな奴から狙われているからあまり一人で-」
身近にあった埃が遂に取れたような すっきりした顔でダガーたちを見た。
見ようとした。
しかし、目の前には誰も・・・いない。

「え~~~~~~~!!?私だけ置いてきぼり~~~~!?」



------
「まーったく!皆どこ行ってしまったのかしら」
そう言ってブツブツ言いながら、ぶらぶらと歩くバッシュ。
そんな彼女の目の前には 一つの大きな塔が見えた。
試しにのぼってみることにしたバッシュ。
永遠にありそうな階段を一段一段確実に上っていく。が。
「ちょ・・とぉ・・ こんなにもあるなんて・・・思わなかったわ・・」
前々から相棒のサクよりも体力が無い彼女にとってはまさに地獄・・。
だったら登らなくても良いのでは? とお思いだろうが、彼女は好奇心が旺盛で 何かを見た瞬間「とりあえずはやってみよう」と考えてしまう人なのだ。
そんな地獄の階段も終わり、目の前に広がっていたのは。
「・・・これは・・?」
大きな球体。
しかし、地図のような文字がそこらじゅうに書いてある。
「ガイア儀ですよ」
そう言ったのは 小さな学者だった。
「あ・・あら。勝手に入ってしまってごめんなさい」
「いやいや、私がきちんとしっかりここを閉めてなかったのですから。それにしても、お気に召しましたかな?」
そう言われ、ガイア儀を見つめるバッシュ。
「うーん・・。こんな大きな儀を見たのは久しぶりかもしれないわね」
「失礼かと思いますが、貴方は 氷の鳥「ヴァシカル」ですかね?」
「・・・あら?どうしてお名前まで知っているのかしら?」
そう言って考え込む。
己の名は大体は明かしている。もしかすると周りで聞いていたかもしれないし・・。
だが、「氷の鳥」というバッシュの力の名まで知っているとなると。
「もしかして「星の民物語」の所持者?」
「その通りです」
そう言って学者が見せたのは、一つの古い古い本。
「珍しいわねぇ。これをもっているというのは」
「いやいや。アレクサンドリアで研究をしていた際、この本を見つけたのです」
「研究?」
「そうです。アレクサンドリアの姫君の家庭教師もしておりました」
「・・・ダガー・・ガーネットのこと?」
「おお、もしかして姫様のお知り合いでございますか?」
「まぁ そんなところね」
「ガーネット姫様なら 私と道具屋で接触しましてね。もうすぐここに来ると思いますよ」

そう言った時。
「あ。トット先生。それに・・バッシュ!」
ダガーたちが来たのだ。
「おお姫様! すみませぬな。このようなむさ苦しいところまで御足労いただいて」
研究ばっかりをしていた彼の周りには無数に乱れた本がたくさん・・。
バッシュも何故気づかなかったのかが知れない・・。
「トット先生はここにお住まいなのですか?」
「アレクサンドリアを離れ、研究に金を出す物好きを探して転々としておりました。そして行き着いた先が、ここトレノという訳でしてな。しかしお美しくなられましたな。再びお目にかかる事が出来、このトットも嬉しゅうございますぞ」
「トット殿! お元気そうで何よりであります!」
「おお、そう言えば、先程はスタイナー殿もご一緒でしたな」
「は! 騎士としてあるまじき行為であったと猛省するばかりであります!」
「相変わらず真面目なお方だ。止むに止まれぬ事情があったのでしょう、敢えてその理由を問う事は致しますまい。それよりも、お探しの白金の針をそこの箱に準備いたしましたので、どうぞ御自由にお使いくださいませ」
ボロボロの小さな宝箱がおいてあり、マーカスはそれの口を開かせる。
「それじゃあ、これは貰っておくっス」
「この無礼者! 礼ぐらいまともに言えんのか!」
「まあまあ、スタイナー殿、構いませぬでな・・・。姫様の知り合いだと考えればそのようなものなど一銭の価値すらないので」
「これで兄貴も助かるっス。トットにはカンシャッス!!」
そう言ってにっこりと笑みを浮かべるマーカス。
彼の笑顔は始めてみたような気がした。
「礼儀も知らぬ盗賊ふぜいと一緒に行動せねばならんとは・・・」
それを見、ブツブツ言うスタイナー。
「トット先生、これは ガイア儀?」
そう言い、ガイア儀を見つめる。
記憶の奥底にあった幼き自分。今でも忘れられない、トット先生との想い出。
「もう8年前になるのね・・」
「月日が流れるのは早いものですな。 わたくしは相も変わらずこのような物を集めたり、研究したりしておるのですがね」
微笑し、トットもガイア儀を見つめた。
「古い品でしてな・・。このように壊れておるのですが、これもまた粋かと思い、改造して天体観測のための施設として使っております。ガイアの中から空を見る・・・なかなか悪くない物ですぞ」
「そうね・・」
「しかし、この空すら見ることもなくなった方たちは全てを破壊し、人を殺し 全てを失うまで狂っていってしまう・・。それこそが、今の王女・・ブラネ様です」
俯くダガー。しかし、心は決めている!
「・・・でもお母様を止めたいのよ・・私は!」
「そこまで言うのなら仕方がありませんね。・・・危険かとは思いますが、姫様をアレクサンドリアまでお送りする事に致しましょう」
そう言って隠し階段をだしたトット。
「こういう日も来るかと思い、古い機関を改良、保存しておきました。こちらです」
「おお! 我らがアレクサンドリアに戻る事が出来るのですな!?」
「俺も行くっス」
「何故貴様がついて来るのだ!」
「アレクサンドリアからなら、石になっちまった兄貴のところに行けるっス。」
「だったらちょうど良いんじゃない」
「それじゃ一緒に行きましょ。いいわね、スタイナー?」
「ウググ・・」

「ブランクも・・そして、お母様も、元に戻してあげなきゃ!」

 

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