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これは氷の惑星アースと金の惑星ガイアの物語・・・。
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「ジタン、わたし・・・大変な事をしたのね・・・・?」
そう言ったのはダガーだった。

ぶすぶすと黒焦げた南ゲート。
そこが復旧するのに幾日の時間がかかるのか・・・。
 


辛くも黒のワルツから逃れた一行。
しかし・・・。
「飛空挺はがたがた、積み荷は無くなり、南ゲートは損壊!あまつさえ、この自分が盗賊の片棒を担いでしまうとは・・・」
「スタイナー・・」
「おっさん言ってるのは分かるが・・南ゲートは・・」
その言葉をさえぎり、フレアが言う。
「まぁスタイナーがいう言葉は分かる。だが・・・これぐらいやらないとあいつらからは逃れられなかったんだ」
少々しょんぼり気なフレア。
あまりやりたくはなかったというのが彼女の本音なのだが。

「あまりフレアを責めちゃいけませんよ?おじさん。それにフレアの行動は正しかったです。
フレアのお陰でなんとかぎりぎりゲートを抜けれたのですから。大一閃の押す力が無かったら・・今ごろは-」
「まぁとにかく!!いまさら後悔したって遅いということだ」
とこの話を切り上げるジタン。

「・・・ええい、こうなれば!覚悟を決めました!! 城にお戻りになられる日まで、このスタイナー、お供させていただきます!!」
また懲りずに・・・。はぁ、とジタンは溜息をついて仕方なく張本人のダガーに聞いてみる。
「ダガーいいのか?こうなったらこのおっさん、地の果てまでだってついてくるぜ?」
そんなジタンに対し、「ありがとう、ジタン。大丈夫です」と冷静な口調でダガーは言った。

そして巨大な巨大な山が見えてきた。否、それは山ではなく・・・機械の塊といえよう。
「これがリンドブルムだ」
「ふえぇぇぇ」
とあっけにとられるのが フレア。
(こんな技術・・・この星にあったなんて・・・私たちの星の技術もまだまだですね・・・)
そう感じて止まないリーズ。
その様子を見て微笑するダガー。
「リンドブルムはお城の中に街があるのよ」
そんな会話を尻目にジタンは思う。
(・・・リンドブルムに着けばダガーとの旅も終わりかぁ。いい感じになってきたのになぁ・・・)
そんなことを考えていたジタンに対し、ビビが問いをかけてきた。
「ねぇ・・ジタン」
「ん?どうしたビビ」
「ボクと・・・あの黒魔道士って呼ばれてた人達って・・おんなじなのかな?」
ビビの言葉にその場にいた全員が凍りつく。
なんていってやればいいのか分からない。
だが・・・スタイナーは違った。
「ビビ殿はビビ殿であって、彼らは彼ら、ではありませんか?いったい何の事を-」
「おっさん、良い事を言うな!」
といってスタイナーの背中をバシッと叩くジタン。
「何があろうとビビはビビって事さ! な?」
「う、うん!」
「よ~し、ビビ。甲板に出よう!!リンドブルムの城下町は飛空艇から見ると気持ちいいんだぜ!」
「えっ?」
「ほら早く! 正面玄関の天竜の門がすぐそこだ!!」


「なぁリズ」
「なんですか?」
「・・ゆっくりしような?」
もちろんです とリーズがいう。
このところ ずっと旅をしっぱなしで休憩すら取れなかった。
少しの滞在なら旅に支障はないはずだ。
それに ジタン達とはこの町で別れるつもりなのだから。

そうこうしているうちに飛空挺は城の中へと入っていく。

------
「城の中に飛空艇ポートがあるとは・・・ブラネ様のレッドローズでさえすっぽりと入ってしまう大きさではないか」
スタイナ―が驚くが、ダガーは慣れている様で、
「ダガーは来た事があるみたいだな?」
悟って言うジタン。
「ええ、小さい時に何回かは・・・。でもお父様が亡くなられてから来るのは初めてです」
前から誰かが来る気配がした。
「おっと、早速お出迎えですぜ、お姫様!」

「わたくしはアレクサンドリア王国の王女ガーネット=ティル=アレクサンドロスです。シド大公殿に会いに参りました」
「一国の姫君がそのようなボロ船に乗ってくる訳がありませぬ!第一、姫様の御付きがこのメンツとは・・・」
「な、何を言うか、無礼ではないか!姫様はお忍-」
「まぁ あやしいとは思いますけどね」
怒り心頭のスタイナ―に対して のほほんというリーズ。
「・・・・では、何か王族であるという証をお持ちですかな?」
「はい」
そういって差し出したのは・・・。
「・・・このペンダントは・・・天竜の爪?! いや・・・似ているが、形が違うようだ。 オルベルタ様をお呼びしろ!」

兵士が呼びに行った直ぐ後、ジタンとスタイナーが口喧嘩は始まる。
「貴様のように知性のなさそうな奴が一緒にいるから我々までもが怪しまれるのだ!」
「おっさんが知性溢れる紳士に見えるとはとても思えねえけどなぁ?」
「き、きっさまぁ!!私がプルート隊だといえばすぐに-」
「・・・他人の城でごちゃごちゃいうもんじゃないんだけど」

と ワイワイ(?)している時に。
「これは何の騒ぎだ?」
「はっ、怪しい者達が大公殿下との謁見を願い出ていまして。その上、天竜の爪にそっくりなペンダントを所持しておりまして・・・」
「! 後は私が引き受ける。お主達は下がってよい。」
「はっ!」
懐かしむように大臣を見つめるダガー。
「オルベルタ様!」
「失礼しました、ガーネット様」
そう言って頭を下げるオルベルタ。
「さっ、どうぞこちらへ。大公殿下がお待ちかねです。」
「「「「・・・お待ちかね?」」」」
全員が全員そろって同じ言葉を言った。

 ------
エレベーターのようなもので上へ上へと上がっていくジタンたち。
リフトというらしいが3つの高層で成り立っているという。
下は霧がかかっていて現在通行禁止。ジタンたちが乗った中層は城下町へといけるエアキャップがあるらしい。
そして上が特別な人ではないとたち入りは許されない大公の間がある。

 
「なあ、ダガー、シド大公ってどんな奴なんだ?
オレ、リンドブルムにずっといたけど今まで一度も見た事がないんだよなぁ」
「シド大公殿下は、いつも一歩先の事をお考えの人。少し変わっているところもありますが、お父様の親友でもあった、頼りになるお方です」
そう言ってダガーは不安が隠せなくなった。
「大公殿下は・・・わたしの話を聞いてくださるのかしら?」
「心配するなって、オレが無理矢理にでも聞かせてやるさ」


「ここが大公の間です。・・・殿下、アレクサンドリアよりガーネット姫が参られました」
「ぶりっ!?ホントぶりか!?」
そう言って飛び出してきたのは・・・
「!! ブ、ブ…… ブリ虫ぃーーーっ!!」
スタイナーは近づく虫を思いっ切り張り飛ばす。
「ぐはっっ!!」
一気に飛んでいったものだからブリ虫は重症。
「ああ・・・駄目ですよ スタイナー。これは・・・この人は・・・」
「殿下っ!!」
「「で・・殿下!??????」」
「し、失礼な奴ぶり・・・!」
「いま 回復の魔法を・・・」
そういい、リーズはブリ虫-殿方に対して回復の魔法をかけてあげた。
「あ・・・ありがたいぶりっ はぁぁ気持ちいいぶり」
気持ちよさげに髭を上下にさせるブリ虫。
「そのヒゲは、おじ様なんですね?」
「うむ、シド=ファブールであるぶり。我が『天竜の爪』と似たペンダントを下げていると聞き、姫だと確信していたブリ。久し振りに会えたというのに・・・このような見苦しい姿で済まぬブリ。」
「私からお話ししましょう・・・ 半年ほど前の晩、何者かがこの城に忍び込み、陛下の寝込みを襲ったのです。
我々も駆けつけるのが一歩遅く・・ 陛下はこのような姿に変えられ・・・ヒルダ大公妃は連れ去られていたのです。」
うーん とシドを見て言うリーズ。
「元に戻せる方法はあることはありますが・・・ブリ虫というものがなんなのかが分からないので元に戻せません・・・」
「まぁ リズは全能ではないからしょうがないよ」
とフォローをするフレア。
「リンドブルム城に忍び込むなんてオレくらい腕の立つ奴の仕業だな」
とジタンが他人事のように言ったのだが・・・「貴様達がやったのか!?」とスタイナーが冗談をスルー出来ずに睨み付けた。
「それは絶対にないブリ」
そうシドはきっぱりと断言した。
「知っているのか、オレ達の事を?」
「この国を治める者として、それぐらいは知っておかねばな」
「おじ様、今日はお母様の事でお願いがあってここへ参りました!」
「うむ、わかっておるブリ。じゃが、皆は疲れておるだろう。今日は一日ゆっくりと休むが良いブリ。話は明日、じっくり聞かせてもらうブリ」
「さあ、どうぞこちらへ。お洋服の準備とお食事の用意が出来ております。」

堅苦しい所が超が付くほど嫌いなフレアは城下町へと逃げ出したのはいうまでもない。

------
リンドブルムの夜はあまりにも短いようで。

「城のお上品な食事ってのはどうも苦手なんだよなぁ・・・。よくダガーはあんなので食った気になるよ」
「だよなぁ・・・全く。城育ちの者は皆いいなぁ。 あれで慣れてるんだから・・ ほんとまいっちゃうよ」
「だよなー・・てっっ!!!」
ジタンは横を見た。
はぁ とため息をつくフレアがいた。
「フレア・・ついてきたのか・・」
「だって ここ迷いそうだから・・」
「まぁとりあえず・・ お!?今日のスペシャルメニューは沈黙のスープか、悪くないな」
「スープか・・おいしそうだな」
「入るか?」
「ああ」
二人は食堂の中へと入っていった。
「おやっさん、いつもの安っちいスープ二つ頼むよ!」
「だ、誰だ~!? うちのスープにケチ付ける奴は!って・・・ジタンか。 最近顔を見せなかったが元気そうだな!」
「ヘヘッ、おやっさんも!」
「沈黙のスープ2つだなっ! よし、少し待っててくれ。」
そう言ってとことこと煮込み始めた。
「・・・ふう」
「なにため息付いてるんだよ」
「なんだかな あの南ゲート・・・やっぱり私の所為だなーって」
「・・・・」
「昔から・・昔からだ。私が力を制御できなかったのは。いまではなんとかできる感じになってきたけど・・・まだまだだな。
それに・・・」
すっと出したのは 一つの大剣。
「こいつもそろそろ潮時かな・・・」
「その剣は・・?」
「私の村に伝わる名剣だ。ずっと封印を解いていたから ちょっとやばいかな・・。また封印しないと」
「へぇぇ・・綺麗だな」
きぃぃ と音がした時 大剣は羽のペンダントと化していた。
「これでよしっと」
それを護身用なのか、フレア自身の首にかけておくことにした。

 「そこの尻尾・・・」
「何だと!? そう言うお前も尻尾があるじゃねえか!・・って」
「ふふ・・久しぶりだな・・」
「・・・?? 知り合いか? ジタン」
「よ、よぉ! えっと・・・どなたでしたっけ?」
「この私を忘れたのかい?」
「覚えてるさ! お静だろ?」
「・・・違う」
「クリスティーネだっけ?」
「違うっ!」
「あ、わかった! 小さい時、隣に住んでたネズ美だろ!でっかくなったな~」
しつこいのじゃっ!!
「・・・・・」
呆れてモノが言えないフレア。
「冗談だよ、いい女の名前は忘れないさ。ほんと、久し振りだな、フライヤ」
「ほんと、相変わらずじゃな」
すっとフレアが渡されたのは沈黙のスープ。
それを手にとり ごくりと一口飲みつつ 様子を見つめる。

「何年ぶりだっけ・・・」
「3年振りぐらいかの。」
「あれからどうなんだ? 見つかったのか、恋人の消息は?」
フライヤは頭を横に振った。
「だめじゃ、まったく・・・」
「という事は・・・リンドブルムに来たのはやっぱりアレなのか?」
「うむ、狩猟祭にはいろんなところから腕に覚えのある者が集まるからな」
「狩猟祭?」
飲みながら言うフレア。
「ああ・・年に一回行われる祭りさ」
「どんな祭りなんだ?」
「あまり・・大声ではいえないが・・・モンスターを街に解放して、そのモンスター達を倒していくんだ」
「・・・さぞかし街の人間にとっては危なげな祭りなんだな」
「まぁな。でもフライヤ きっとみつかるさ!」
「お主は参加せんのか?」
「う~ん・・ オレはパスね。」
「・・・私やりたいな・・・」
ぼそっと言うフレア。
「・・・!フレア」
「まぁ いい武器があれば・・な! それじゃ宿に戻るわ」
「分かった。気をつけてもどれよ?」
「ああ・・」
そう言って宿屋に戻るフレア。
「・・・制御できない・・か」
そういって胸を触る。
この中には・・目覚めさせてはならないのがいることは知っている。
でも・・・いつ目覚め・・いつどうなるか・・。

「あぁ・・もっと旅をしたいな・・・」
ただただその姿を映していたのは・・・赤い赤い月だった。

------ 

翌日。
「フレアッ!」
そう言って引き止める  耳に羽が生えている少女 リーズ。
「ん?どうしたリズ」
そう言って振り向いた 耳がとがっている エルフのフレア。
「頼みモノがあるんですけど・・よろしいですか?」
「いいけど?何?」
「霧耐性のものなら何でもいいので 買ってきて欲しいんですが・・」
「うん 分かった。2つ分ね?」
「そうですねー 何があるか分かりませんし」
「じゃあ行ってくるわ」
そういって街にくりだしていった。
 

鳩が飛び出し 羽ばたく。
それはいつもの・・・そういつもの平和。

朝日が眩しく 目が覚めたジタンの横には いつのまにかビビが起きていた。
「おはよう、ジタン」
「早いな、ビビ」
ビビは窓の外を見ていた。人々が行ったり来たりしている。
「リンドブルムの街って賑やかだね、こんなにたくさんの人、ボク初めて見た。でも・・・独りになりたくなった時は、みんな何処に行くのかなぁ・・・」
「この街はいつもこんな調子さ、いろんなところから人が集まってくる。飛空艇技師を目指す奴や、劇場艇で役者になりたい奴・・・。まっ、中にはオレみたいなはみ出し者もいるんだけどな!気付いたら、オレはこの街にいてタンタラスの奴らと暮らしてたんだ」
「へー、タンタラスの人たちはここに住んでるの?」
「ああ、劇場街にオレ達のアジトがあるんだ。オレはアジトへ戻るけど、どうだ、ビビも一緒に来るか?」
「ううん、ボクは街を見に行ってくるよ」
「そうか、それなら、オレがガイドしてやってもいいぜ」
「えっ、いいよ・・・ ボク一人で大丈夫だから」
「そうか、オレがいちゃ邪魔だな、可愛い女の子見つけて来いよ!」
ビビは、曖昧に「うん」というしかなかった。

「さーて!アジトへと行きますか」
そう言ってエアーキャップへと乗り込んだら・・・。
「あれ?フレアじゃないか おはよう」
「ん・・ジタンか」
そう言うと 手の中で鉱石のような物で遊んでいた。
「どうしたんだ?それ」
「ああ・・リズから霧耐性のものを調達してきてといわれてさ、そしたら合成屋にこれがあったから。今は形を作ってるんだ」
「へー・・どうやってやるんだ?」
「まず 鉱石を封呪の結界の中に入れて、そして-」
そう言っている合間にエアーキャップは劇場街についた。
いまだに説明しようと四苦八苦のフレアを無視し、
「おっ ついた」
そう言ってジタンは降りるのであった。

------

アジトには誰もいなかった。
「戻ってきてる訳ないか・・・ あいつらがいないと静かすぎるぜ。あーーーっ!!!何か頭ん中がもやもやするっ!!!」
「へー ここがアジトかぁ」
もやもやしているジタンを尻目に、ひょこっと顔を出すフレア。
やはりジタンの後をついてきたらしい・・・。

「? こ・・・これ・・・」
そう言って床に落ちていたキラリと光る物体を手にし、絶句するフレア。
「・・? どうしたフレア。ここは全く高価な物なんて-」
「いや・・これ・・魔法耐性と魔法攻撃に比例する力があるらしい。ちょっとこれもらってもいいか?」
「ああ、つーか そんなに高価な物なのか?」
「魔法使いじゃ分からないけど かなり価値がある」
そう言って魔法陣を創り始める。
「・・・Magic・・creation」
フレアの前には一つの弓があった。
しかしそれは飛ばす時に必要な糸がついていない。
「・・・これは弓か・・?でも糸が・・」
「糸は魔法で何とかなる。それにしても自分なりに作ったが、こうもうまくいくとはなー」
とフレアは満足気だ。

その時 鐘が鳴った。
「もうそんな時間か・・・ 今、どうしてるかな、ダガー」
「気になるなら会いに行けば?愛しきダガーさんに」
「ああ そうするよ ってぇ!!!!!!」
真っ赤になりながらエアーキャップの方へと走っていったジタンであった。
「・・図星かぁ」

城の方へと走っていこうとしたら 目の前にどっしりと鎧が止まっていた。
「どうしたんだ、スタイナー?」
「また貴様の仕業だな! 姫様は何処にいるんだ!」
「おい、落ち着けって、オレだって今来たばかりなんだ」
「姫様が見当たらないのだ。この部屋にいるようお願いしたのに」
「何処かそこら辺に散歩にでも行ったんじゃないのか?」
「何を呑気な事を! 姫様はリンドブルムに来るまで、何度も危険な目に遭われているのだぞ。万が一、姫様が一人の時に何かあったらどうするつもりなのだ!貴様とは話にならん! 自分は姫様を捜しに行く!」
「・・・・二人とも・・聞こえないのか?」
後ろからのんびりときたフレアが二人に対して言った。
「ダガーの声」
そう言ってフレアは天空に指を差す。
「綺麗な声だ・・」
「そうですねー」
「・・・っ! り・・リズ。いたのか」
むー とした顔でフレアに文句を言うリーズ。
「いたのか はないですよっ!!」
「ご・・・ごめん」
そうこうしているうちに ジタンは走っていってしまった。
「あっ貴様-」
スタイナーも追いかけようとしたが 後ろから はしっ と誰かがひっぱった。
フレアとリーズだ。
「まぁまぁ スタイナー。ジタンさんに任せましょうよ」
「そうだよ スタイナー。あの二人・・仲いいから」
そんな二人に捕まったら最後。
一体どんな事をされるのか。
スタイナーは身の程を知ることとなる。

------ 

「いくら伝統行事だからって少々、荒っぽ過ぎやしないか?特に、あのデカい奴には何人もやられてるんだぞ・・・」
呆れたように そして嫌な予感がするかのように兵士は言う。
こいつらを倒せるのはいないのでは・・・?
しかし 商人の顔色は違っていた。
「いやいや、それが良いのです! これぞ男の祭り!血が騒ぎますな!」
わくわくしているかのように血が上っている(一種のバーサク状態とも言える)商人は誰にも止められない。

「予定よりも早くファングが放されたようです」
冷静に言う兵士は しかしながら冷や汗をかいていた。
「危ないわね~、まだオルベルタ様から指示は来ていないのに」
「上では間もなく獣を放すと思われますが・・・」
「そうね、奴が出てくる前にムーを放しちゃいましょう!急いで!」
そういって檻の中からモモンガのようなモンスターが解き放たれた。

「準備、整いましたー!」
「よーし、そのまま待機!」
「今年の奴は今までになく絶好調じゃ! 誰にも倒せんじゃろ!」
がたり がたり。
恐怖の音を奏でる檻はまぎれもなく故障しそうな勢い。
「ヒャハハ、元気じゃの!」
「おいっ、止めさせろ! まだこいつを出すのは早い!」
「知らんよ、奴は自由じゃ。ワシの言う事などきかんて。」
「くそっ! すぐに門を開けさせろ、城壁が壊されてしまうぞ!」
「ゆっけ~い! ザグナルちゃん!!」
そう言い城壁が少々傾いたまま、強大な獣は町へと放たれた。

狩猟祭。それは魔物ハンターや冒険者等が自分たちの力を見せ付ける場所。

「わっりぃ、わりぃ! ちょっと準備をしててさ」
と 冗談チックに言うジタン。
「では、そろったところで、『望みの品』はもうお決まりですか?」
「ああ、オレはやっぱりギルだぜ!」
そういったのはジタン。
「私はアクセサリにしようか」
ふむ と考えながらもいうフライヤ。
「じゃあ私は・・いちよ鉱石かな?」
武器もあるし と そういったフレア。
「ビビ選手は何にしますか?」
「え、えっ! ボクも出るの!?」
自分は出ないはずだった・・ そうビビは思っていたのだが。
「お前ならイイ線いくと思ってオレがエントリーしといてやったんだ。黒魔法があればどうって事ないって、なっ?」
「で、でもぉ~」
「相変わらず勝手じゃな」
フライヤがそういったが ジタンはその言葉を無い事にした。
「どうなされますか?」
そう 急かされ。
「あっ、じゃあでます・・。ボクはカードを・・」
やはりビビは純粋といえる・・・。

「わかりました、ギル、アクセサリ、鉱石にカードですね。そろそろお時間です。ジタン選手 フレア選手は劇場街、フライヤ選手は工業区、ビビ選手は商業区へ向かってください」 

エアーシップに乗り込んだ時は もう始まっていた。

 

「いい眺めですねぇ~」
そう呟く・・というよりも風のようになびく声を発するリーズ。
「あ・・リーズさんも出なかったんですか?」
「あまりこういうものは好きではなくて・・」
そう言っている間に 一人だけ知っている人物がいた。
ビビだった。
「あっ! あそこにいるのはビビさんですねー。小さいのに頑張ってますねぇ」
「がんばれぇぇぇぇ!ビビ殿おぉぉぉぉぉ!!」
隣からビックリするほどに大声を発するスタイナー。
そんな燃えるスタイナーとはうってかわって。
「・・・・・まぁフレアが楽勝で優勝ですね」
そう呟いたのはリーズとフレアが長年付き添った間柄とフレア自身が「力」の持ち主であったからだ。
それは この二人のコンビにしか分からない事だが。
 

------
しばらくしてフレアはのんびりと商業地区を歩いていた。
まるでその街をのんびりと楽しみながら見学しているかのように。

「フレアー!!!」
泣きながらビビはフレアの元へと走ってきた。
「?・・・!!! これは・・でかいな・・」
ずっしりと目の前にいる巨大な獣 ザグナル。
天空を見ないとどんな顔をしているかさえ分からない。
「助けて~」
「まぁ まかせなって!」
ぐるる・・と お腹を鳴らせるザグナル。
「まぁ まずは落ち着こうか・・・」
そう言った刹那。
「な・・なにこれ・・」
ビビの目の前には・・正確に言えば 獣の足元に。
大きな呪文譜が編み出されていた。
フレアの手に絡み・・ フレアは静かに詠唱を始めた。

汝 自ら 生死を分け 只管 力を拒む ・・・ 哀れなき生命よ・・・ 我にひざまつかん
フレアはそう言うと獣は大人しくなった。
我は尊重なり 我は力なり 我は暴徒なり 我は炎なり 自ら力を称え 我と共に・・・ ラン!!」
その時だった。
火が・・まるで火炎が 獣を暖めるかのように丸め込み
そして・・爆発したのだ。
紛れもなく 近くにあった建物が壊れるのではないかと思うほどの爆発。
しかし、建物の損傷は無かった。
ただ・・損傷があったのは・・・ザグナルのみ。

もはや決着はついていた。
『タ・・・タイムアップ! 終了です!!
優勝は・・・ フレア選手! 見事優勝です!』



------
はぁはぁ とよろよろと。
歩いてくるのは瀕死の兵士。
一体何があったのか・・・周りはそう思うほど。



 

「いや~、実に見事だったブリ。望みの品とハンターの称号を与えるブリ!」
そういってシドはフレアに金に光る鉱石を渡した。
「オリハルコンブリ! ココでしか手に入らない最高級モノだブリ!」
「ありがとうございます」
ハンターの称号と共にもらうフレアは満足そうで。

そんな時だった。
「はぁ・・はぁ・・」
ブルメシアンの兵士は辛そうに壁にもたれながら歩いてきた。
「お前!まだ大公様は優勝者と話しておるのに・・」
「シド大公・・・・ ご無礼をお許しください・・・!我が王から・・・火急の言伝でございます・・・」
「何だとっ!」
(陛下、そのお姿では!)
(・・・よく見るブリ。あの者は戦乱により視力を失っているブリ。だからこの姿を見られても大丈夫だブリ)
オルベルタにそう呟き、
「して、言伝とは?」
ブルメシアンの兵士に向かって話し掛けた。

「我が国は・・・敵の軍の攻撃を受けておる・・・!戦況は・・極めて不利・・・!援軍を・・送られたし!敵は・・とんがり帽子の・・軍隊でございま・・・す・・・」
ひゅうひゅう言う傷ついた兵士。
それを見て シドは、
「言伝お聞きいたした。直ちに我が飛空艇団を送る!!」
「あ・・・ありがとう・・ござい・・ま・・」
そう言って血だらけで倒れてしまったのだ。

「・・・・・」
リーズは首を横に振った。
やはり治癒が間に合わなかったらしい・・。
「そうか・・・」
がっくりとシドはうなだれた。
「ここに来るのがやっとだったらしいな。ブルメシアで何があったというのか・・」

「しかし、シド様。どうなさるおつもりで? 狩猟祭で城には僅かな兵士か・・ 飛空艇団を動かすには足りませぬぞ」
そう言ったが もはやシドは決意していた。
「国境に配備した飛空艇団を呼び戻すブリ。ブルメシアを見殺しには出来ん」
たとえ、アレクサンドリアから目を離すとしても。

 


王の間から出た後で。

「とんがり帽子か・・ ビビと同じ黒魔道士かも知れぬな」
そっとフライヤはビビの帽子を撫でる。
同じでもビビは罪は無い。しかし、脅威になることは間違いないだろう。
「・・・・・・」
そんな思いを知っているのか ビビはうなだれた。
「私は失礼する。飛空艇団を待ってはおれん」
同族だからなのか、いつもとは違ってイライラとしているフライヤ。
ちょっとまて とジタンはいいながら王の間から歩いてきた。
「仲間の故郷が攻撃されてるんだ、これを聞いて黙っていられるか! お前が嫌でもオレは行くぜ!」
「済まない・・ ジタン」
待って! そういいながら ぱたぱたと走ってきたビビ。
「ボクも一緒に行く。自分の目で見たいから・・」
そういった 黄色の瞳は決意と不安を意味していた。
「・・わかった」

「私も行きます!」
「姫様! 危険であります!」
「スタイナーの言うとおりですよ?危険だとわかっている場所に連れて行く事は出来ません」
きっぱり というリーズ。
真剣な眼差しでダガーを見る。
「危険なところなのはわかってるわ!」
「あんたは死というものを知らないからそういえるんだ!」
普段ならにへらと笑うフレアだが。
やはり真剣そのもので。
「フレアさん!!」

「ダガー・・今、目の前で死んだブルメシア兵を見てどう思った?」
そう質問するジタン。
「……可哀想、って……」

「そう、可哀想、だ・・ そう思うのは悪い事じゃないさ。けどダガーはまだこう考えられない・・。
『自分もこうなるかもしれない』って・・。お母様を説得するなんて、そんな甘い事言ってられる状況じゃないんだよ!」
「でも!!」
「まあまあふたりとも・・」
そう言って階段を下りてくるシド。

「今は言い争う時ではないブリ!」
「大公殿の言う通りじゃ、早くブルメシアに向かわねば。地竜の門を開いてもらえぬか?」
「うむ、歩いていくのならば、あそこから出るしかないブリな。では、地竜の門が開くのを待つ間、腹を満たしていくといいブリ」
「腹が減ったら戦はできぬと言いますしねぇ」
いつもの調子でリーズが言った。

そして皿が並んでいく最中。
フレアはリーズに呟き 声を掛ける。
(リズ)
(なんですか?)
(あのさ、多分この調子じゃダガー アレクサンドリアに行くだろうな。だからその時、ダガーについていってくれないか?)
(・・・私は貴方と行きたいのですが・・・)
(じゃあ聞く。君はあれから「死」を克服したの?)
(・・・無理ですよ、それは。あなたのように親も姉妹的な子もいる周囲が充実しているならまだしも・・・親も死に同族はうざったいし・・・)
段々とリーズの同族の恨みの話になってきたので、はぁ とフレアは溜息をついた。
(じゃあ・・連れて行けない・・)
(分かってます。 前々からそのつもりでしたし)
(・・・・ごめんな・・リズ)
大丈夫です とひっそりという。
ご幸運をお祈りしておりますね

 

「あれ・・? ボク、お腹がいっぱいみたい。何だか眠くなって来ちゃ・・た・・」
そう言ってがっくりと そして静かに寝始めるビビ。
「・・・・・ダガー・・・?君は一体なに・・を・・」
ジタンも寝ないようにしていたがしばらくしたら寝音を奏で始めた。

「・・・これはいったいなにが・・」
「スリプル草よ?これを入れて皆を寝させたの。でもスタイナ―のには入れていないわよ?」
小さい葉っぱをスタイナーに見せるダガー。
「スタイナー、わたしは自分が出来る事をしたいの。 みんな勝手に決めて欲しくない!」
「それは姫様の身を案じての事!自分は戦争の悲惨さを知っています。命令でも、お受けする訳にはいきません!」
「もしブルメシアを襲ったのがアレクサンドリアだったとしたら・・・。 今度の戦争は『霧の大陸』の3大国を巻き込む大戦争になる。でも、わたしはアレクサンドリアの王女、わたしにしか出来ない事がきっとあるはずよ! 正直言うと・・お母様が死ぬのを見たくないのよ・・!」
「・・・・」
深く深く考えるスタイナ―・・。
そして結論はすぐさま出た。
「姫様のお気持ち・・・!このスタイナー、良くわかりました!!自分は姫様について行くであります!」
「ありがとう、スタイナー」


そういって出て行こうとしたが。
「・・リーズさん」
そうリーズが待っていた。
「・・・貴方も・・私を妨げるのね・・?」
「違いますよ?」
さらりというリーズはまるで風のようだ。
「貴方も私と同じ・・。死というものは嫌です。でも彼らは・・ジタンさんたちは知っている。フレアでさえも・・ね。
だからそんな臆病な私は貴方達の命を守ります。まぁ無論何を言われてもついて行きますからね」
「・・・ありがとう・・リーズさん・・!」
そう言って笑顔でその場を出るダガー。
「さあ、みんなが起きる前にリンドブルムを出ましょう!」


(行って来ます・・フレア)
(いってらっしゃい・・リズ)


「やられたブリな・・・」
そう言ってむくりと起き上がる5人。
「スリプル草か・・。箱入りかと思っていたが、あの娘、意外とやるものじゃな」
舌打ちをして怒るジタン。
「いったい何考えてんだっ!?まさか先にブルメシアへ向かったのか?」
「だとすれば、まだ間に合うかもしれないブリ。」
「ビビ、起きろ! すぐにブルメシアへ出発だ!!」
「・・・ふぇぇ?」
「・・寝ぼけてる場合じゃない!」
「ギザマルークの洞窟へ向かおう!そこを抜ければ、ブルメシアじゃ!」 

「・・フレアは?」
「あの娘、先に行ってると言って出て行ったみたいじゃ」
「そっか・・・」
そういえば・・・。
何故かあの場にはフレアとリーズはいなかった・・・なんでだろうか。

      
 

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