「ん・・・ここは?」
そう言って起き上がるジタン。
近くには劇場艇が不時着していた。
どうやらジタンは不時着するときに飛ばされたようだ。
周りを見渡してみた。
フレア そして頑固なおじさん スタイナーが倒れていた。
「フレア!スタイナーのおっさん!」
「・・・ん。ここは・・・ひ・・姫様は・・」
「ここにはいないようだぜ? おっさん」
「姫様に万が一の事があったらただでは済まさんからな・・・!!」
「それはいいとしてだ。フレア・・起きろ」
「ん・・・・・・・うん・・・」
そう言ってフレアは起きるが、ものすごく眠たそうな瞳をしていた。
「ああ・・・・ジタン・・リズは・・?」
「お嬢ちゃんは知らないなぁ・・」
「まぁ・・・リズは・・大丈夫・・うう・・・睡魔が・・」
「眠たそうだな・・どうしたんだ?」
「うん・・・? 魔力・・の・・使い・・すぎ・・・で・・ふわぁ・・」
そう言って大きな欠伸をする。
「魔力の使いすぎ?」
「うん・・・まぁ・・それは・・-」
そう言ってフレアは寝こけてしまった。
「お・・おい!起きろよ!!」
そして一つの悲鳴が聞こえた。
「ん!?あの声は・・ガーネット姫!?」
ジタンは森の奥へと入っていこうとする。
「待たれ!フレア殿はどうする-」
「おっさんが抱いてな!」
「・・・・・」
そういって小さな少女をお嬢様抱っこをして持ち上げた。
「・・・軽い」
森の奥へと進むと、ビビとリーズが居た。
しかし、そこには・・・。
「た、大変だ!」
「何だあいつは!?」
見ると、巨大な植物のような魔物がまるで鳥籠のように蔓を使いガーネットを捕らえていた。
フレアを抱きながらスタイナーも駆けつける。
「ひ、姫様に何をするつもりだ!!」
「話が通じるような相手じゃない! リーズ!いくぞ!」
「ええ。ガーネットさんはあの魔物に体力を吸われているみたいです。なんとか私の回復魔法で命に別状はありませんが・・・」
「? リーズ」
「私、あまり攻撃的なことは好きではないので・・」
「・・・・んなこといっているひまはないだろ・・」呆れてモノが言えないジタン。
「だからこそ、ビビさんがいるじゃありませんか?」
「ええっ ぼ・・ボク!?」 突然呼ばれて驚くビビ。
「貴方、ファイアの魔法を使ってましたよね?あの時」
「う・・うん」
「なら、ばしばし使ってください!本当だったらフレアがいたらこんな敵はあっさり殺すことはできますが・・」
そういってスタイナーに抱かれている小さなエルフを見る。
敵が居るというのに調子よくすやすやと眠っているフレア。
「分かった・・僕やるよ!岩砕き、骸崩す、地に潜む者たち 集いて赤き炎となれ! ファイア!」
そうビビが唱えた時 どこからともなく火が現れ、敵に直撃した。
それに沿って、ジタンが攻撃をする。
しかし、敵は火が弱点なのかはよく分からないが ガーネットを連れて逃げていってしまった!
「姫様~、姫様~っ!!」
「何処へ行ったんだ!?」
さすがにリーズも今回はお手上げのようで。
「むー・・・分かりませんね・・・。この霧さえなければ、風で探し出せたのに・・・。こういう時にフレアがいれば・・」
「そういえば フレア、『魔力の使いすぎ』だとかなんとかいってたけど」
それを聞いて、リーズは重いため息をついた。
「・・・しょうがないですね・・一旦戻りま-」
そうリーズ言った刹那、後ろに魔物が居たのを感じた。
しかし、時既に遅し。
魔物が怪しげな煙を吐いてきた。
「危ないっ!」
「うわぁっ!」
「ぐおぅ! 姫…… さ…… ま……」
そう言って、ビビとスタイナーは倒れてしまった。
それに加えての攻撃。
「・・・まずい。逃げましょう!行方を失った風たちよ・・・我らにさらなる危機の回避を! ダテレポ!」
そういって リーズ・ジタン達は、不時着した劇場艇に逃げていったのであった。
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待っていたのは、バクーだった。
「そいつぁ無理だ。 お前も見たろ、船の周りは霧から生まれたバケモノだらけだ」
その言葉でジタンはむっとする。
「あんな奴ら何て事ない。オレ達が揃って行けば平気さ!」
「それはそうかも知れねえ。でもケガ人はどうするんだ?」
「一緒に連れてきゃいいだろ?」
「そんじゃあ、襲われた時に動きが取れねえで、やられちまうぞ。ガーネット姫にゃ気の毒だがよ、仕方ねえ、仲間の方が大切だ」
「畜生ッ!!」
そういって扉を蹴った。
「ケガ人がみんな回復するまでタンタラスはここで待機すんぞ!!身勝手な行動は許さねえぞっ!ジタン!」
「・・・・女を見捨てるなんて、見損なったぜ」
「俺の答えは変わらんぜ。気に入らねえなら、タンタラスを辞めんだな」
そういってバクーは部屋を出て行ってしまった。
「畜生・・・!でも俺はあの子を見殺しにはできないんだ・・・なんでかは分からねぇ・・でも・・救いたい・・」
「・・・懲りねえな、お前も。今度は何をしでかすつもりだ?」
そう言ったのはいつの間にかいたブランクだった。
「ガーネット姫を助けに行くのさ。あのおっさんもフレアもリーズも一緒に連れて行く」
「正気か? 森の主ってのがどんな奴かはわからねえんだぜ?第一、ボスがそんな勝手な事、許す訳がねえ。」
「わかってるさ・・・」
しかし、ジタンの瞳は諦めを見せない。
それをみてブランクは、舌打ちをした。
「ったく、お前の思い切りの良さには相変わらず嫌気がさすぜ。とっととボスと話つけてきな。モタモタしてたら手遅れになるぜ」
「ありがとう・・ブランク」
「アレクサンドリアのおっさんとちびは縛り付けておいて お嬢ちゃんが調合した薬を飲ませておいた。ちょっとは不安だが・・お嬢ちゃんによると二人とも体力は回復しているってよ」
それを聞いて安心したジタンは 頭のバクーの元へと走っていった。
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人の気配がした・・・。
ずっと眠っていた少女はついに目を覚ました。
「ん・・・・リズか」
「はい・・・フレア、調子はどうです?」
「どうもこうもないだろう・・まだだるさが残ってるし」
お陰で目が覚めたけどね と微笑するフレア。
「さすがにウォームは使っちゃいけませんよ・・!人一人守るのならまだいいとして、劇場艇全体なんて-」
「分かってるって・・」
「分かってるのなら何故使ったのですか!」
どんどんとリーズは声を張り上げていく。
「へへ・・リズに心配されるなんて思ってもいなかった」
そして言った言葉。
「分かってるのなら何故使ったか?決まってるだろ?守りたかったからさ。あいつら全員を」
さすがにここにいる奴らを見捨てるわけには行かないと思ったのだろう・・。
全くこの人はお人よしなのだから・・。
でも、「・・・・ここで待っててください。あなたは今度魔力を消耗したら-」
「わーかってるって! だから私もついてくから!」
これ以上言うことを聞いてくれないと思ったリーズは、あっさり敗北を認めた。
「・・・はぁ・・分かりました。代わりにこれをつけてせいぜい頑張ってください」
それは星がたくさんついていたブレスレットだった。
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ジタンは意を決めて 頭のバクーの元へといった。
「待ちくたびれたぞ。来ねえかと思っちまったじゃないか・・・やっぱり助けに行くんか?」
「あいつと約束したからな。最後までちゃんと誘拐してやる。」
「ガッハッハ! 理由なんて聞いてねえよ。 あの姫、なかなか美人だから、おめえが惚れるのも仕方ねえ! 理由なんて、それで充分だ。んで、覚悟は出来てんのか? タンタラスの掟は絶対だかんな。相手がお前でも手加減しねえぞっ!!」
「ああ、わかってるさ」
「よ~し、思いっ切りやんぞ! 隣の貨物室で相手してやらぁ!!」
「いつでも来い!!」
「本気で行くぜっ!」
ジタンはバクーに向かっていくが、流石にナイフと盗賊剣とでは差があるのか、
「ガハハハ、くすぐったいじゃねえか。その程度じゃ姫は助けられんねーぞ!」
とバクーは余裕綽々だ。
しかし、
「俺は絶対にガーネットを助ける!!」 そう言って、バクーの盗賊剣を跳ね除けた!
床に転がる、盗賊剣。
その盗賊剣を見て、くつくつとバクーが笑う。
「・・・おめーの勝ちだ、ジタン。 いい腕してやがるぜっ! 結構痛かったぞ!! 姫様の事はよろしく頼むわ!ガッハハハハッ!」
そう言い、愛用の盗賊剣を持ちバクーは部屋を後にした。
「手加減するなら最後までしてくれよ・・・」
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その頃、スタイナーはガーネットの人形をじっと見つめていた・・。
(このような醜い人形に姫様の名前を付けおって・・・。それに姫様は16歳である!それにしても、不細工な人形だ・・・。姫様はもっと清らかな-)
「いい歳してお飯事か?」
後ろを振り向いた時には遅かった。
そこにはいつの間にかジタンがいたから。
恐らくはジタンの瞳には人形と戯れている酷いおじさんが映っているのだろう。
「な・・・何を言うか、貴様~っ! 自分は姫様の事を案じておったのだっ!!
貴様らが誘拐などと言う不届きな事を企むから、このような事になったのだぞっ!
姫様に万が一の事があったらただでは済まさんからなっ!!」
微妙に自分をフォローしているスタイナー。
それを まぁまぁ と抑えようとするジタン。
「そうカッカしなさんな。これからオレはガーネット姫を助けに行く! おっさんにも来て欲しいんだけど・・・。どうだ、大人しくするって約束するんなら連れてってやるよ!」
「貴様ら盗賊の考える事だ、また良からぬ企みでもあるのだろう!」
「心配するな。オレがひとりで決めた事だ。タンタラスの行動とはまったく関係ない。ガーネット姫を助け出す。ただそれだけさ・・!」
「・・・その言葉に偽りはあるまいな?違えるような事があればその場で貴様を斬り捨てるぞ!!」
「OK~、それじゃ決まりだな。頼りにしてるぜ、おっさん!」
「よいか! 決して貴様を許した訳じゃないからなっ!」
「わかったって・・・」
「よし、ならばあの黒魔道士とフレア殿、それにリーズ殿にも来てくれるよう頼もうではないか。」
「黒魔道士・・ビビの事か・・」
「うむ、ビビ殿の黒魔法は、あの化け物にも効果的であった。関係のない者を巻き込みたくはないが、今は姫様の命が懸かる一刻を争う事態・・・。姫様をお助けするためにはビビ殿の力が絶対に必要である!それにフレア殿とリーズ殿もついていくといった感じであったが・・」
「よし、そういう事なら早速、ビビに話に行こう」
そう言って階段を下りていくとビビがいた。
「待たせたなビビ、お姫様救出作戦開始だ!」
ほっと撫で下ろすビビ。
「良かった、気をつけてね!」
「お前も一緒に来てくれ」
「えっ、ボクが・・!?ボクなんかついてってもきっと何の役にも立たないよ・・」
「いや、ビビ殿の黒魔法は森のモンスターに有効であった。こんな半端者の盗賊よりずっと頼りになるのである」
指で指されたような気分になった ジタン。
「で、でもボク自信がないよ。さっきだって背後を取られて攻撃を受けたし・・」
「姫様のため・・いや、アレクサンドリアのために、ビビ殿の力を是非貸していただきたい!」
「責任を感じるなら自ら行動する。それが男ってもんだろ、ビビ? さぁ、化け物は待っちゃくれないんだ。 早くガーネット姫を助けに行ってやろうぜ」
そういわれたので 純粋なビビは、
「う、うん。足手まといにならないように頑張るよ」
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「待ちくたびれたよ・・」そう言ってきたのはフレアだった。
「お前・・調子はいいのか?」とジタンが不安そうに言う。
「まぁ・・なんとか。リズがこれをくれたからね」
キラリと光るブレスレット。
「くれたのではなく貸してあげたといったほうがいいのでは?」
後ろから言ってきたのはリーズだった。
「あまり無茶をしないで下さいよ? フレア」
「大丈夫だって!まぁなんとかなるっしょ!」
そして5人は 再び森へと入っていった。
------
しかしもう一人 危険な森へと入っていこうとする者がいた。
「ほんとにいいのか?」
「心配すんじゃねえ、俺達も準備が出来たらすぐ出発すっからよ。その大陸図持ってきな。リンドブルムまではまだ遠いぜ」
「わかった! またアジトでな。」
「おう!」
それはブランクだった。
------
森の中へと進んでいく5人。
しかし、それを妨げる動く植物がいた。
それをばっさばっさと切っていく。
「動くってことは・・生きているのですかねぇ?」
「たぶんそうじゃないかなぁ・・」
さりげなく言ったビビの一言で、
「でしたら私は回復役で」
とかなり主調するリーズ。
「・・・攻撃しろよ」
とウンザリと言うのがジタンだったりする。
(まぁ・・回復役のほうが 直ぐに癒されるからいいんだけど・・)
と毎日のように顔を見合わせていたフレアは思った。
(大体リーズが攻撃するのは私に何かあったか・・・ぐらいだけど)
そして奥に到着。
紅い植物の幹がぴきぴきと音を立てていた。
その中心にいたのが-
「姫様~~~っ!!」
捕らわれていた ガーネットだった。
「こいつが親玉か!」
そういってナイフを出す。
「貴様は一切手出しするなっ!アレクサンドリアの姫が盗賊に助けられたとあっては!」
「ひとりで手に負える相手か!!来るぞっ、ビビ・フレア・リーズ!!」
そういって紅い植物の魔物(プラントブレイン)に近づき、攻撃を仕掛ける。
バチバチバチ・・・。
フレアが攻撃を仕掛けた後、そんな音がした。
「!」その音に気付いたが一足遅かった。
バチィ!
そう言って雷が落ちた。
しかし、
透明なガラスのようなモノがそれを妨げた。
リーズのバリアが張られていたのだ。
「ふう・・さんきゅ リズ」
「貴方は無理をしてはいけないので初級のフェイでもかけといてください」
「言われなくてもやってるよ フェイ!」
そういって火の玉がプラントブレインに当たる。
しかし、しかしだ。
考えてみて欲しい。
今 戦っているのはジタン・フレア・ビビ・スタイナーである。
回復・援護系魔法を唱えているのはリーズだ。
そしてどんどんとプラントブレインに生命を吸収されるガーネット。
リーズの回復では何とかなっているのは事実だが・・・。
(このままでは いつかはガーネット姫が・・・)
そう思い、皆焦り始めていた頃だった。
「危なっかしくて、見てられねーな!退いてな、俺が手本を見せてやる」
と後ろから突然いってきたのは、ブランクだった。
皆の手が一気に止まる。
あれだけ 無責任な事を言っていた人が今まさにここにいるとは、
よほどではない限り考えられないのだからしょうがないと言えばしょうがない。
「こらこら!お前達も止まってないで攻撃しろよ!?」
そういって攻撃を再開した。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「姫様、お気を確かにっ!!」
「リーズさん、あの調合薬持っているか?」
「もってなくても大丈夫ですよ~」
そう言って詠唱を始めた。
「暮れう無き力を定め ここに浄化と未知の力を目覚めさせん! ラリトス!!」
すると、どんどんとガーネットの顔色がよくなってきた。
「すぐに良くなりますぞ」
「これで少し休めば大丈夫だね!」
とホッとしたのはつかの間。
がさがさ がさがさ がさがさ がさがさ。
一気に騒ぎ始める森。
「クッ、次は何だ……!?」
そう言ったブランクの目には最悪なモノが写った。
突然植物の魔物が大量に出現したのだ。
「だめだ、囲まれるぞ!!」
「リズ・・・やっぱり私は見ていられないよ・・・」
そう言うと植物たちの前に立ちはだかった。
「意とも無き闇を貫く糧の者たち 我の名を示し、火となれ!! フレアっ」
一気に森に火が広がっていく。
しかし、不思議な事に それはジタンたちにとってはそんなに熱くは無かった。
ということはこの炎は幻影なのか・・・一瞬そう思ったが植物たちは怯んでいるようだ。
それでも植物たちはめげない・・・。
ぱきぱきぱき。
音がした。
絶対的に植物たちが出せない 出せる筈も無い音が。
「な・・・何の音だ?」
「逃げましょう・・嫌な予感がします」
そう言って逃げ出した6人の瞳には・・・森の奥から植物の魔物諸共、森が石化してくる様だった。
------
はぁはぁはぁはぁ。
どんなに頑張って走っても道連れ的な植物たちには勝てなかった。
魔物に追いつかれ、その鋭い蔦でジタンを絡めようとする。
その時ジタンは横から衝撃を受けた。
ジタンは後ろを見た。
ジタンが衝撃を受けた理由・・・。
身代わりに捕まっているブランクの姿で直ぐにわかった。
「ブランク!!!!」
「いけっ ジタン!」
そう言って投げつけてきたものは一つの地図だった。
その地図は地面をころころと転がり、その転がりバウンドしている地図を手に入れ、握り締めながらジタンは必死に走った。
-----
「余計な事しやがって・・・ブランク・・・!」
森は誰の侵入も拒むかのように入口付近を蔦が絡み合い、そして静かに石に姿を変えてしまった。
ブランクもまた、森の奥で変わり果てた姿になってしまっただろう・・。
静けさが・・・5人を襲った。
------
「大丈夫かな、お姫様・・・」
ビビが不安そうに言う。
ここは魔の森のすぐ側付近。
しかし、魔の森はというと相変わらず静かな音を立てていた。
「大丈夫・・だって・・・・リズの・・回復・・魔法・・うーん・・」
無理でも目を開けてようとするフレア。
目の周りをごしごしとさせる。
「どうした?フレア」
「・・・おかしーなぁ・・ものすごく・・睡魔・・・が・・・・」
フレアは、そう言ってまた寝てしまった。
「お・・おい!!」
「おかしいですねぇ・・きっちりとスリースターズはフレアがつけてあるというのに」
そう言い、眠りこけてしまったフレアを見つめる。
「すりー・・すたーず?」
「魔力を制御する 魔法アイテムです。これさえあれば、フレアは絶対眠れないと思ったのに・・・・」
うーん とひたすら悩むリーズ。
「この霧・・・ですかね?」
「霧・・!?でも俺らは全く眠らないぜ?」
「多分、元々フレアが霧に弱かったのでしょうね。彼女はチカラを沢山持っていて、そういう気候やら汚染やらにはかなり敏感ですし」
「じゃあ何でリーズは寝ないんだ?つーかチカラってなんだよ」
「チカラはチカラですよ。詳細は言えませんが。私は風の力で常に自分の身体をガードしてますからこれぐらいなら平気です」
まぁ・・ と言葉を続けるリーズ。
「もう一回フレアを持っていてもらいますかね?おじさん」
「お・・・おじさんじゃないですぞ!!」
「う、うぅ・・・ん・・」
そう言って起きたガーネットに対し、「ガーネットさん・・調子はどうですか?」と聞くリーズ。
大丈夫です と少々顔色が悪いが言うガーネット。
「・・スタイナー? わたくし、 助かったのですね・・?」
「命に代えても姫様をお守りするのがこのスタイナーの務めであります!」
「姫さんを助け出したのはオレの腕とビビの黒魔法だぜ!それにフレアの魔法とリーズの回復魔法が無かったら・・・」
そしたら 皆死んでいただろう・・・。
「皆様に感謝します」
そう言ってガーネットはお辞儀をした。
「フレア殿、リーズ殿、ビビ殿はともかく、
そ奴にそのようなお言葉は必要ありませぬ!
そもそも、このような事になったのは貴様が姫様をさらった事が原因!!
それを後で助けたからと言って、偉そうにするのはまったくお門違いである!よいか、城に戻ったら貴様など!」
「ジタンさんも頑張ってましたよ?それなのに貴方はそれを無効になさるおつもりですか?」
とびしっとリーズが言う。
それに続いて言うガーネット。
「スタイナー・・・わたくしは自分の意志でアレクサンドリア城を出たのです」
「そう、そこへガーネット姫をさらいに来たオレ達タンタラスと意気投合したって訳さ」
「な・・・!?」
「この方が言った通りです」
「まっ、そういう訳だからさ、仲良くやっていこうぜ、おっさん!」
と肩を叩こうとしたら回避されたジタン。
「貴様とて知っておろうが、この”霧”の呪われた謂れを!!この”霧”特有のモンスターを!心身に異常をもたらすという話を!姫様、このような危険な場所からは一刻も早く離れるべきであります」
「無茶言うなよ、おっさん!目が覚めたからって、まだ彼女の体力が回復した訳じゃないんだぜ。それにフレアとリーズはどうするんだよ?」
特にフレアは眠りに陥っている始末である。
「貴様の意見など聞いてはおらん!!」
「何処から”霧”の上に出るつもりなんだ?この一帯は高い崖に囲まれた低地だろ? 南ゲートと北ゲートのアーチも今は閉鎖されてるって聞いてるぜ?」
「・・・」
「宛て、無いんだな?」
「うぐぐ・・」
「姫は歩けない程に弱っているんだ。おっさんだってフラフラだっただろう?宛ても無く出発するのはかえって危険なんじゃないか?」
「貴様の指示は-」
一切いらない という前に、
「スタイナー! ガーネット姫を守るのは誰の務めだ!?」
「それは当然、王宮騎士の自分であるっ!!」
と急にしっかりと発言し、周囲の反応に気づき、「仕方ない…最低でも姫様のお体が回復するまで、ここはこのスタイナーが守るっ!!」と渋々言うのだった。
「そのほうがいいですね・・。フレアがいつ起きるのか分かりませんし。このままここに滞在しても状況悪化につながっていくように思えます」
「それじゃ、スタイナーのおっさん、よろしくさん。オレ達は上へ出る方法を考えようぜ」
と言い、ジタンとビビは地図を持って歩いていってしまった。
「もう歩けるようになったのですか?」
「ええ、リーズさんの回復魔法のお陰です・・」
「流石に回復魔法が効くのは早いですねぇ」
慎重で実行能力を持っているジタンに全てを任せ、ほのぼのと彼女たちは話す。
「魔の森から無事出られたのはジタンさんのお友達のお陰だと-」
「ブランクさんの事ですね?」
こくり と頷くガーネット。
「早く助けてあげなければ・・・!」
「すぐには助けられない。石化を解く手立てがないのです」
「でも貴方の回復魔法で・・・」
「石化と言うのは何種類か分けられるものです。
たとえばコカトリスのように元々体から出ているもの等は何とかエスナで直せますが・・・この魔の森で発生した石化はかなり異常な物らしいです。なので今の私には無理なのです・・」
「・・・そうですか・・・」「それに今、フレアが倒れている以上、早めにここから脱出しないと・・・」
後々大変な事になりそうですね とリーズは微笑した。
(そうしなければフレアは一生このままでしょうね・・・。まさかここで「破壊の力」の副作用が出てしまうとは思ってもいませんでしたが)
と、心の中でリーズは呟いたのだった。