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これは氷の惑星アースと金の惑星ガイアの物語・・・。
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いつまで私は眠っていたのだろうか。
それでも、私の眠りなんて悲劇の連続の前兆の前兆だというのに・・・。


私の近くで泣いている少女がいた。
その子はボロボロの姿だった。
一際輝いていたのは、緑の髪と瞳。そして胸にまるで「押し込まれた」ような黒い結晶体だった。
すぐさま、私はその子が「リーズさん」だと直感した。

声をかけようとした途端。

「どうしたのですか?」
綺麗な風のような声で、少女に話しかけてきた人がいた。
金色の瞳と長い髪をきらりと光らせて、白いローブを着た男か女か分からない人。
「私、また捨てられちゃう・・・。あの時のように「化け物」って言われて捨てられる」
「いいえ、貴方は「化け物」ではありません。それに貴方は最善を尽くしました」
「分かってる。分かってるけど・・・」
その人はふと振り返り、突然私を直視してきた。

『お前はここに二度と来ないと誓えるか?』
低いテノールのような声が私の頭の中に響いた。
『お前と私とは縁が深い関係だ。だが心までお前を許したわけではない』
恐い、この人は恐い。
『そして、お前は自分の「チカラ」を無差別に解放しすぎた。その罰として、二度と私たちの目の前に現れるな』
眩い光が差し込んできた。
低いテノールの声は最後に強烈なメッセージを残した。
『消えろ』

― ― ― ― ― ―
「ん・・・」
森林みたいな場所で、私は目覚めた。
「お、気づいたか?」
「大丈夫?お姉ちゃん」
ひょこっと顔を出してきたのは懐かしい顔だった。
「ジタン・・・ビビ・・・なんで・・・」
何故ジタンとビビがここにいるのか分からなかった。
「皆は・・どうしたの?」
「俺たちとリーズは無事だ。でも、おっさんとフライヤと・・・ベアトリクスは-」
私はジタンの服をぎゅっと強く掴んだ。
「最初から話して・・!!」

------

「そう・・・そんなことがあったのね・・」
私が眠っている間に、いろんなことがあったらしい。
ブルメシアの滅亡、クレイラの破壊、召喚獣の存在、お母様の裏切り、それに対するスタイナー達の抵抗・・・。
「なんで、私は眠っていたのかしら・・・。皆、皆必死だったっていうのに」
そして・・・あの夢。
『そして、お前は自分の「チカラ」を無差別に解放しすぎた』
おそらくあれはリーズさんの中にいる「バッシュ」なのだろう。
「ずいぶん遠くまで来ちまったから、皆の所存や生きているかさえ、わからない。
でもタンタラスもフォローしてくれてるし、大丈夫さ!」
苦笑してジタンは話し続ける。
私を励ますかのように。
「とっくに脱出して今頃トレノでオレ達の事捜しているかもしれないぜ?」
「だったら、リンドブルムで飛空艇を借りられないかしら?南ゲートまで行ければトレノはすぐだわ。ここはリンドブルム城の近くにあるピナックルロックスだし、結構近いの」

「果たして、それまでその「チカラ」の暴走は止めれるかの・・?」
老人のような声が聞こえた。
私を含めて全員振り返る。
色でいうと「黄色」のような老人だ。
「我が名はラムウ」
「・・・!!まさか・・・貴方は雷帝ラムウ・・・ですね?召喚魔法に関する文献で貴方の名前を見ました」
「そなたの無差別なる「召喚魔法」により、クレイラは消滅寸前にされた。消滅まで至らなかったのは世界を守ろうとした獣のお陰ともいえるであろうがな」
「それは・・・フレアのことか?フレアは無事なのかっ!爺さん」
「あの衝撃だ。無事ではあるまい・・・。それに獣にとっては環境が悪すぎじゃ」
「フレア・・・」
一番心配していたのはビビだった。
ビビは悲哀の瞳でラムウを見つめていた。
「だが、あれはダガーが詠唱したわけじゃないだろう?」
「確かに、あれは第三者が発したもの。だが、我が問いはひとつ。そなたはどうするのだ?このまま「チカラ」を解放されたままだと第ニ第三と被害が広がるばかりじゃ」
「私は・・・」
ぎゅっと首からかけっ放しだった赤の宝玉を握り締めた。
「このチカラをコントロールしたい!!」
「再び過ちを起こすつもりか?」
「私、この「チカラ」・・・召喚魔法が怖かった。でも、もう逃げません!」
「・・・ならば、条件はただ一つ」
ラムウの瞳が鈍く光った。
「我と戦い、勝ってみせろ!!」
「って、ダガーには無理だって!俺も戦うぜ!」
「僕も!」
守ろうとする二人の少年達。
「ジタン、ビビ。ありがとう。でも・・・私は決意したんです」
このチカラを絶対にコントロールしてみせる。
そして・・・リーズさんとバッシュさんに認めさせてみせる。
「雷帝ラムウ、特訓の程よろしくお願いいたします!」


------
ダガーのやる気とは裏腹に、やはりその「強大な力」は持て余される事は無く。
今日で3日が経った。
「はぁ・・・」
がくりと魔力の制御に疲れ果て、ダガーは膝を落とした。
「・・・まだまだじゃな」
ラムウは溜息をついた。
分かっている。分かっているんだけれど・・・。
どうすればこの魔力は制御できるのか。
そして。
ちらりとダガーはリーズが寝ているほうへと顔を向けた。
(私の所為。私の所為で・・・バッシュさんを怒らせたんだ)
そう考えた刹那。一気に体の力が無くなり、その場にばたりと倒れてしまった。
「おい!ダガー!!しっかりしろ!」
ジタンの不安そうな声だけを聞いて、意識がなくなった。

― ― ― ― ― 

ふと私は目を開けてみた。
あの時見た、小さなボロボロのリーズさんが不安そうに私のほうを向いてきた。
「リーズ・・・さん?」
ぎゅっと小さな手でリーズさんは私の手を握ってくる。
後ろには、酷く私を睨みつけるバッシュさんがいた。
「私の・・・私の所為で・・・バッシュさんは・・・リーズさんは・・・」
リーズさんは左右に首を振った。
「もういい。もういいから・・・」
良くない
しっかりと言ってきたのはバッシュさんだった。
「お前の所為で、私たちは滅茶苦茶になった。あの時と同じ事を言う。消えろ」
「だめ!バッシュ!!」
バッシュさんに向かってリーズさんは叫んだ。
「だって・・・だってダガーは・・・」
その言葉の後が聞こえ辛く、急激に襲ってきた眠気に負け、奥深くへと眠りについた。

 「ダガーは、私と・・・―」

― ― ― ― ―

しばらく眠りについていた私は、朝早く水辺へと来た。
不安と自分を責めている私の顔は何故だかげっそりとしていた。
リーズさん、バッシュさん。
ごめんなさい。
全て、こんな私の所為です。
もうどうすればいいのか分かりません。
もう・・・死にたい。

【それは駄目・・】
清らかな声。
私はあたりをきょろきょろとした。
【貴方は・・・私たちを忘れてしまったけれど・・・それでも大丈夫】
きらきらとした結晶が集まっていく。
それは「氷」。
冷たい冷気があたりを包み込んでいく。
それは形つくられ、やっと声の正体が分かった。
美しい・・・女性がそこに立っていた。
「誰・・・。貴方は・・・誰・・!?」
【思い出してください・・・主】
主・・・?
頭がずきずきする。
恐い。怖い・・・!!
【貴方はもう大丈夫です。さあ、思い出してください】

・・・・・・・・頭が痛い・・・。
・・・角・・・。
・・・・・竜・・・火の子・・・。
・・私・・・可愛い不思議な・・・アトモス・・・。
バハムート・・・氷の・・子・・・。
・・・イフリート・・・。
氷の子・・・シヴァ。

思い出した。
「シ・・・シヴァ・・・?」
にこりと微笑んだシヴァ。
そしてそっと私の手になにかを渡してくれた。
【もう大丈夫です。私の召喚で貴方の力は制御されるでしょう】
そう言い、シヴァは氷の粒をきらきらさせ、消えていった。
私の手に握られていたのは「青のオパール」。
私はそれをそっと握って呟いた。

「・・・シヴァ・・・ごめんなさい・・・ありがとう・・・」

------
 
『ダイヤモンドダスト!!』
「お・・・お早う、ダガー・・・って わっ
未だにおきたばかりのジタンは突如自分が氷漬けにされそうになり、なんとか避けた。
「あ・・・危ないなぁ!」
「あ、ジタンお早う」
昨日とは裏腹のしっかりとした口調のダガーを見て「う・・うん。お早う」とつい言ってしまい。
自分が危険だったっていうのにそれを指摘しない哀れなジタンであった。


------
ぴくり、と少女のエルフの耳が動く。
「精霊の声が、聞こえたのか。フレイア」
冷静な声がその場に広がった。
声の主は白い髪をしていた。瞳は人は睨みつけられたら凍えるほど震え上がる灼熱の赤。
しかし、フレイアはその瞳はとても優しいオーラに包まれていることを知っている。
「うん・・・。でも。もしかするとお姉ちゃんかも知れない」
「確かに。フレアがこの世界に来ているということはオメガを通じて分かっている、が」
不安がよぎる。
「・・・何事もなければいいが・・・」
星の民一族 氷獣を司る「シガン=リヴァイス」はこの世界で何かが起こるような気がしてならなかった。
自分のチカラでは出来ない事でもないが・・・。

― ― ― ― ― ―


ふむ、と雷帝は静かに言った。
「・・・確かにそのチカラ、安定したな。分かった。我のチカラもそなたに預けよう」
ふわりと雷帝ラムウは浮かび空に散っていった。
・・・空からきらりとしたものが舞い降りてくる。
「黄のペリドット・・・ラムウ、ありがとう」

------
 朝の日差しが眩く輝いた。
「ん・・・」
リーズは眠たそうにのっそりと起き上がる。
そして一つ溜息。
(全く・・・。バッシュったら・・・なかなか言うこと聞きませんね・・・)
とはいえ彼女も【神獣】の一種。
少し怒りっぽく心配性なのは分かる、が。
(仕方ないとはいえ・・・「大嫌い!!」って言ってしまったのはまずかったのでしょうかねぇ・・)
「リーズさん、起きてたんですか」
溜息をついているリーズを見つめているダガー。
「あら・・・」
ダガーを見てすぐさま分かった。
あの暴走さえしているチカラが、すっかり無くなっている。
「チカラの制御・・・うまくいったんですね?」
「ええ」
こくり、とダガーは頷く。
「バッシュさん・・・まだ怒ってますか?」
リーズは首を横に振った。
「・・・逆にひっこんでしまいまして」
「またなんで・・・」
「いえ、大した事無いんですけどね」
「もしかして・・・私の所為ですか?」
「違いますよ。ただ・・・」
自分が言った言葉はそれ程重かったのだろうか。
そう思いつつ溜息をつきつつ言った。
「さすがにごちゃごちゃうるさかったもので、つい「バッシュなんて大嫌いっ!!」っていってしまいましてね」

------

「にしても、久しぶりに戻ってきた感じだな~」
夜空が光り、一つの大きな城が浮かび上がっている。
そう。
ジタンたちはついにリンドブルムへと戻ってきたのだ。

 「ホント。ここまで来るのが長かったわ・・・」
はぁ、とほぼ眠っていたと思われるダガーは言う。
だが、王女としては本当に長い長い冒険だった筈だ。
「ですね・・・。後はフレアの居場所が分かれば・・・」
クレイラを瀕死状態ながらも守り抜いたフレア。
相棒であるリーズは彼女の行方が分からずにいた。
あれだけの衝撃、そして解放されたチカラだ。
アースの優秀な【ガーディアンフォース】だからとて無事であるはずが無い。
「それとおっさんたちが無事に生存してるか、だな」
アレクサンドリアに残ったスタイナー、フライヤ。
そしてブラネを裏切った、ベアトリクス。
彼らも強いが、無事であるとは考えにくい。

4人とも仲間の無事を祈っていた。
そして何事も起きないことを・・・。

 だが。
その祈りは通じなかった。
「ジタン、あれ・・・!」
驚きつつもしっかりと「あれ」に指を指すビビ。
それを見たジタンたちは驚愕する。
「レッドローズ!?」
目の前での惨劇は恐ろしいものだった。
主砲が火を噴き、あのガラクタのような面白い町を粉々に、そして赤く染めていく。

その間にレッドローズは鈍い光を放つ。

「あの光はテレポット!?城内に直接、黒魔道士達を送り込んでるんだ!!」
「そんな・・・」
がくりと膝を落とすダガー。
そして大きな召喚獣が現れた。
口が大きく全てのものを飲み込んでいく。
黒魔道士達も、生きている両国の兵士でさえ・・・。
ダガーの耳に微かに『苦しい』という声が囁いた。
(・・・アトモス・・・。ごめんね。ごめんなさい・・・)
ぽたりと涙が落ちた手のひら。
その手のひらには、悲しみと共に棄てられた紫色の「アメジスト」が乗っていた。

------
リーズが目の前のリンドブルムの惨劇を見て呟く。
「静か・・・ですね」
あんなに盛んで、明るい町が 一瞬にして、しかも自分達の目の前で無くなろうとは・・・。
「何て酷い事を・・・。リンドブルムにまで手を出すなんて・・・。しかも私の力も使って・・・」
そう言い、ダガーはちらりとリーズを見た。
「大丈夫ですよ。これは貴方の所為ではありません。貴方の力を利用した方がいけないのですから・・・」
「おいおい。気を抜くなよ、奴らまだいるかもしれないからな。ビビ、お前はこの辺に隠れてろ」
ジタンのその言葉にビビはびくりと震え上がる。
「えっ! 怖いよ、ボクそんなの嫌だよ!」
「アレクサンドリア兵がここにいるんだ。黒魔道士のお前がうろちょろしちゃまずいだろ?」
「う・・・うん。でも―」
「そんなにビビるなよ、すぐ戻ってくるからさ」
「ごめんなさい、ビビ。しっかりと隠れて待っていて下さいね?」
ビビの瞳を見て、リーズはにこりと微笑んだ。
「うん、分かった。でも本当にすぐ戻ってきてね!」

------
「にしても、奥にいくほど被害が大きくなっていくな」
「ですね・・・。それに、住民達の黒魔道士に対しての殺意が予想以上に強大です」
「ビビを連れて来なくて良かった・・・。連れて来てたら・・・恐らく彼らに」
三人とも、町の被害に対して呟きつつも城の方向へと歩いていく。
やっと町の中心街に出た時、ダガーにとっては懐かしい声が聞こえた。

「工場区は完全に破壊、商業区、劇場街も酷い状態です!!」
「兵員を復興作業に回そう。一日も早く民の暮らしを取り戻すのが先決だ」
「わかりました」
「オルベルタ様!」
文臣オルベルタはダガーの声に対して、後ろに振り向く。
「ガーネット姫、ジタン殿!それに、リーズ殿! よくぞご無事で」
「シドおじ様は・・・?大公殿下は無事なの!?」
「ご安心くだされ、城は攻撃を免れたのです。大公殿下は怪我ひとつしておられませんぞ」
ほっ、としたのか ダガーは安堵の溜息をつき「良かった・・・」と呟いた。
「さあ、殿下の元へご案内いたしましょう」

リンドブルム城は少し煤に汚れているものの、全壊はしなかったようで、きちんとそこに建っていた。

「ガーネット姫がお戻りになりましたぞ!」
「おお、ガーネット姫、無事であったか!ブラネに捕まったかと心配してたブリ!」
「ジタン達が助けてくれました」
「礼を言うブリ、ジタン。そしてリーズよ」
「でも・・・。わたし達を城から逃がすためにフライヤさん、スタイナーとベアトリクスが城に残る事になってしまったらしく・・・」
「ほう、音に聞こえたあのベアトリクスが、あの者が一緒ならきっと皆、無事だろうブリ」
「オレもそうと思うぜ、ダガー。城をちょっと離れるだけのつもりがピナックルロックスまで出て来ちまったけどさ。あいつらに限って、滅多な事ではやられないって!アレクサンドリアの2強と強い竜騎士が残ってるんだ!」
「ピナックル・・・。おお! ガルガントか?」
「ああ・・・。まぁ、脱出する時はリ-」
自分の名前を出されるといけないと思い、ジタンの軽い口を押さえるリーズ。
代わりに「詳しいですね・・・」とリーズは言った。
「こう見えても一国を預かる立場。周辺の情報収集は怠っておらんブリよ。だが、如何に情報を集めようともそれを使う者が愚かではどうしようもないブリ。
事前の調べでブラネ女王が召喚獣の力を手に入れようとしていた事はわかっていたブリよ。
・・・しかしワシは召喚獣の力を侮っておったブリ。あれほど凄まじいものとは思いもよらなかったブリ。ワシがこのような姿なのは道理というものかもしれんブリ」
「でも降伏したのは正しかったと思うぜ。抵抗した挙げ句、クレイラは消える寸前までいったんだからな・・・」
「そうです。そういえば、お聞きしたいことがありますが、召喚獣に対峙した獣が何処に行ったのか・・・分かりますか?」
「情報によれば、リンドブルム近辺の沼地へと姿を消えたらしいブリ」
「・・・そうですか。貴重な情報、ありがとうございます」

「おい、まだ動いている黒魔道士兵がいたぞー!」
「あ~? 何だ? こいつ他の奴より小さいな!?」
後ろからざわざわと兵士が騒ぐ。
「痛いよ、放してよ。ボクは違うんだってば・・・」
「!! あの声はまさか・・・」
そこに連れてこられたのは、黒魔道士兵と間違えられたビビだった。
「住民に暴行を受けていた黒魔道士兵を保護しました!」
「違うよぅ。ただ、お腹空いていただけで・・・」
「下がってよい、ビビ殿は黒魔道士兵ではない。黒魔道士の格好をしているが・・・それは敵を欺くため、味方である」
「そ、そうでありましたか。これは大変失礼しました!」
すぐさま解放され、ほっ と溜息をつくビビ。

「話を戻すブリ。ブラネ女王に関する情報は召喚獣だけではないブリ。この一連の戦争の裏にクジャと名乗る謎の武器商人が絡んでいるブリ。クジャは高度な魔法技術を用いた装置や兵器をブラネに供給しているブリ。黒魔道士兵もその一つブリ」
「高度な魔法技術」。
その言葉にリーズはふと疑問を一人で抱き始めていた。

「トレノでクジャを見かけたという者の話によれば、クジャは北の空より銀色の竜に乗って現れるそうです」
「北の空・・・?北にも人が住んでいるんですか?」
「世界には、まだ未開の大陸がいくつもあるんだ。
北の空、通称『外側の大陸』って言うんだけど、この霧の大陸の北にある未知の大陸の事さ」
「外側の大陸に魔法を操る種族がいるのかはわからんが、ブラネに武器を供給しているのはクジャひとりのようブリ」
「わたしが城で見た人物も、多分そのクジャと名乗る者。その人がお母様をたぶらかせているのかもしれません!」
クジャに催眠をあっさりかけられ、プラスアルファで自分が大切に閉じ込めてあった力を無防備に解放させた・・・。
だから・・・「じゃあ、クジャを倒しちまえば!」「きっと、クジャさえいなくなれば・・・」

「そう、ふたりとも理解が早いブリ。クジャを倒せば、武器が供給されなくなり、ブラネの力は弱まる。その時が反撃の好機ブリ!!」
「今正面からブラネに挑んでもまた多くの命を失うだけ。勝ち目はありませんから」
「諸悪の根元を潰すって事か」
「そうです、たとえブラネを倒せたとしても・・・いずれクジャは新しい取引相手を見つけるでしょう」
「母が犯した罪は重い・・・。でもその陰でクジャが動いていたのなら、わたしはクジャを許せない! 私、クジャを捜します!」
「如何せん、ワシはこの通り動きが取れん。民を守るため、兵を割く訳にはいかんブリ。それに残念だが、飛空艇の動力となる霧はこの霧の大陸にしか存在しないブリ。だから、飛空艇で海を越える事は出来ないブリよ」
「それに、ブラネに全ての交通を強制的に停止されているだろうからな・・・」
「どうにか、その大陸に行く手段はありますか?」
「唯一つある。リーズ殿に言った「獣が消えた場所」と同じ沼地にかつての採掘場があるブリ。その採掘場付近にはこの大陸に生息しないはずの魔物が現れるブリ。採掘中に見つかった大きな空洞を突き進むと海をくぐって別の大陸に出る・・・。
という「噂」があるブリ・・・」
「噂かよ・・・。雲を掴むような話だな。本当にそこからいけるのか?」
「保証は無いブリ・・」
「行ってみなきゃわからねえって事か・・・。まあ、わからねえ方が楽しみが増えるな!」

「ガーネット姫を頼んだぞ、我々も反撃の準備をしておくブリ」

「そういえば、ビビも来るのか?」
こくりと小さな黒魔道士は頷いた。
「ボクも行ってみたい・・・。この大陸には、もういられないから」
「では、私もそこまで一緒ということですね。よろしくお願いします」

『外側の世界』・・・。
そこには一体何が待ち受けているのだろうか?出会い?別れ? ・・・それとも。
 

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